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Book-サイエンス

広告の数に関する考察 - 『選択の科学』を読んで

この記事の下には、Googleの広告が一つ貼ってある。スマートフォンで見ると画面の端から端まで表示される広告だが、PCで見ると左右に大きなスペースが空く。だから一時期、広告を二つ並べていた。 『選択の科学』は社会心理学者シーナ・アイエンガー教授の本…

動画をやめて本を読んで欲しい理由

子供がYouTubeの動画ばかり見ている。動画のすべてが悪いわけではないが、長時間はよくない。「メリハリをつけなさい」と諭しても、返事はいいが脳がついてこない。「楽しい」という脳内麻薬が分泌されると、止めることができないのだろう。 親としては学校…

戦争と科学のジレンマ - 『戦争の物理学』を読んで

第二次世界大戦で日本に原爆が投下されたとき、アインシュタインは悲痛の叫び声を上げたそうだ。自ら発見したエネルギーの法則で、大勢の人間が命を落とした。「E=mc²」の公式がなければ、原子力爆弾は存在しなかったかもしれない。アインシュタインの背中に…

バイオソーシャル課 〜 犯罪防止の未来像

暴力の発生メカニズムが気になり関連書籍を何冊か読んだのだが、その中の一冊『暴力の解剖学』に、未来の理想像が描かれていた。暴力の兆候がある人に対して脳の画像を撮影したり脳波を測定し、バイオフィードバックを利用して攻撃性をコントロールするとい…

クロノスタシス

先週の土曜、息子とサッカーをしている時に右足の甲を痛めた。息子のセンタリングに対して年甲斐もなく全力でシュートしたのだが、残念ながら足首がボールの勢いに勝てなかったようだ。翌日になっても痛みが引かなかったので病院で診てもらったところ、骨に…

喪失と獲得

ブログを長く続けているとたまにはいいこともあるようで、あの@spring_maoが私の小説『ベンハムの独楽』を読んでくれた。彼女はエッセイの中で語る。

怒りのまえにあるもの

どう見えているのか分からないが、こう見えても普段は会社で仕事をしている。十数人の部下を抱えて一つのプロジェクトを管理しているのだが、仕事に対してはけっこう厳しい。部下が間違ったことをすれば怒るし、上司の指示が間違っていれば指摘する。先日も…

エリシア・クロロティカ

アメリカの東海岸に生息するこの美しいウミウシは、動物と植物の性質を合わせ持つ不思議な生物だ。幼生期に藻類を食べて葉緑体を蓄え、藻類を食べ尽くすと口を失い、その後は光合成で生きていく。藻類を食べるのは光合成の遺伝子を受け継ぐためで、その受け…

殺人の選択

近所のラーメン店で強盗殺人事件が発生した。連休中の売り上げ金を狙った犯行で、鈍器で殴られた従業員は一人が重傷を負い、一人が死亡した。いつもはニュースで殺人事件を知っても情報として受け流すだけだが、近所で発生すると肌で恐怖を感じる。犯人が潜…

歩くモバイル端末

スマートフォンが普及して多くの人が予備のバッテリーを持ち歩くようになった。他国に比べ、日本人は特に電池切れを気にする傾向があるそうだ。たしかに電車の中の光景を思い浮かべると納得できる。ほとんどの人がうつむいてスマートフォンを触っているから…

人生のものさし

京都大学の生協で「素数ものさし」という珍しい文具が売っている。上側は2、3、5、7、11、13、17cmの素数センチだけ目盛りがあり、下側は0~180mmの間の素数ミリだけ目盛りがある物差しだ。実際に測るには引き算をしたりゴールドバッハ予想を使う必要がある…

猿がタイプライターで『風の歌を聴け』を書くことはあるのか

セス・ロイドの『宇宙をプログラムする宇宙』が面白かった。セス・ロイドは、宇宙がこのような姿をしているのは宇宙自身が計算する能力を持っているからだと主張する。この世界に存在する物質の最小単位は電子や素粒子で、これらは量子と呼ばれている。量子…

超銀河団 局部銀河群 銀河系 太陽系 第三惑星地球

宇宙を想像すると不安になることがある。真っ黒な宇宙空間にぽつんと浮かぶ青い地球。絶妙な引力バランスで他の惑星との距離を保つ地球。時速1600kmで自転し、時速10万kmで太陽の周りを公転する地球。他の星との位置関係がずれたり彗星が追突すると、地球は…

昨日の夕方、東京で虹が出た。こんなとき遠距離恋愛はつらい。いつもなら二人で夜空を見上げて、同じ星を見て喜びを感じることができるが、虹は一緒に見ることができない。Twitterにアップされる写真を見ていたら、救いようのない寂しさを感じて涙があふれて…

素数ゼミ

ミーンミンミンミンミーン ミーンミンミンミンミーン ミーンミンミンミンミーンもうすぐセミの季節がやってくる。陽が昇ると朝を知らせるように鳴きはじめ、日中は気温の上昇を喜ぶように全力で鳴き、夕方は一日の終わりを嘆くように細々と鳴く。炎天下のセ…

今そこにいる奇跡

これを読んでいる人は、コードと聞くとアプリケーションを作るプログラミング言語や、ウェブサイトを構築するCSSを思い浮かべるかもしれない。だが、実はあなた自身の身体もコードでプログラムされている。人間だけではなく、地球に存在するすべての動植物は…

笑う動物

数ヶ月前から犬を飼い始めた。今年の初めに生まれたトイプードルで、そろそろパピーの時期も終わる頃なのに、人の手はガブガブと噛むし、トイレもなかなか覚えてくれず粗相ばかりしている。それでも可愛いくてしかたがないのだが、最近犬と遊んでいて気づい…

アインシュタインがいない世界

史上最も美しい方程式といえば「E=mc2」だろう。1905年にアインシュタインが発見し、その後に実用化され世界を変えた方程式。物理学者は自然の法則をできるだけシンプルな等式で解明しようと夢見るが、その夢を具現化したのが「E=mc2」だ。Eはエネルギー、…

逆さメガネ

人は眼の水晶体を通して世界を見ている。厳密には世界をそのまま見ているのではなく、物体に反射する光を見ている。光は凸レンズの水晶体を通って屈折する。屈折した光は上下と左右が反転するため、眼の奥の網膜に映る像も反転している。その映像をもう一度…

魔法の弾丸

20年ほど前の話になるが、深夜に猛烈な歯痛に襲われ救急車を呼ぼうとしたことがあった。救急車なんて大袈裟だと思うかもしれないが、本当にのたうち回るぐらい痛くて悶絶していたのだ。ただ、さすがに歯痛で救急車はないだろうという理性が残っており、なん…

豊かな時間

先月から家でトイプードルを飼い始めた。まだ子犬で、ウン○コやオシッコは床にするし、甘噛みは甘えを通り越して痛いし、何かと世話がやけるのだが、そんな煩わしさを忘れるぐらい愛くるしくて、ついつい可愛いいでちゅねーとバブちゃん語を使ってしまい、家…

数学は発見か発明か『神は数学者か?』

ルネサンスの彫刻家ミケランジェロは、自分の彫刻は大理石のなかに初めからあって、それを掘り出しているだけだと考えていた。電気と磁気の統一理論を編み出したマクスウェルも、方程式を発見したのは自分の中の何かであって、自分ではないと告白している。…

科学エッセイの傑作『ご冗談でしょう、ファインマンさん』が電子書籍で登場

ファインマンの傑作エッセイ『ご冗談でしょう、ファインマンさん』が電子書籍で発売された。リチャード・P・ファインマンは1965年にノーベル賞を受賞した理論物理学者。素粒子の反応をダイアグラムで図式化したり、素粒子の動きを経路積分で計算して、量子電…

あなたを突き動かすもの『意識は傍観者である』

本を読んでゾクゾクしたのは久しぶりだ。『意識は傍観者である』は神経科学者のデイヴィッド・イーグルマンによる脳科学の本。人は目や耳で情報をインプットして、口や手でアウトプットする。この一連の流れを自分でコントロールしていると錯覚するが、大部…

遺伝の仕組みを解き明かした『二重らせん』

ダーウィンは進化の仕組みを解き明かしたが、遺伝の仕組みについては誤った考え方をしていた。黄色の花と緑色の花を掛け合わせると黄緑色になると考えていたのだ。交配が進むにつれて特徴が薄くなると、環境に有利な形質を残すことはできない。その問題を解…

自然と数学の関係を紐解く『黄金比はすべてを美しくするか?』

ピラミッドの高さ、モナ・リザの構図、ハヤブサの飛行コース、宇宙の銀河など。黄金比は様々な場面で登場するが、その信憑性を検証しつつ、数学と自然の関係を見事に紐解いたのが、マリオ・リヴィオの『黄金比はすべてを美しくするか?』だ。黄金比を最初に…

一家に一冊『元素生活』

日常生活の中で元素を意識することはあまりない。元素を知らなくても呼吸はできるし、食べることもできるし恋もできる。だが、生きていく上で知っておいたほうがいいこともある。ベリリウムを加工するには防護服が必要だとか、テルルは名前が可愛いいわりに…

極上のサイエンスミステリー『偉大なる失敗』

今年は一般相対性理論の誕生100周年。書店を訪れるとアインシュタインの特集が目に付くが、中でもひときわ異彩を放っている表紙がある。アインシュタインが困った顔をしてたたずむ表紙だ。思わず手に取り読み進めると、これが極上のポピュラーサイエンス本だ…

未来ある子供に読ませたい『とんでもなく役に立つ数学』

タイトルは軽いが中身は濃い一冊。『とんでもなく役に立つ数学』は、東京大学の西成教授が高校生に講義した内容をまとめた本。ツールとしての数学の価値と、数学が好きになるための秘訣を丁寧に教えてくれる。例えば微分方程式で振動を制御し、ベイズ推定で…

進化生物学の入門書として最適な『進化とは何か』

リチャード・ドーキンスの代表作といえば『利己的な遺伝子』だが、進化生物学のバックグラウンドがない状態で読むとなかなか理解できない。生物を遺伝子の乗り物として捉えた画期的な理論なのだが、比喩が巧みすぎて事実と憶測の区別がつかないのだ。『利己…