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Macのターミナルで雪が降る 〜 最後のホワイトクリスマス

20131211224643


※この物語はフィクションである。

私には6歳の息子がいるが、小児性白血病にかかっていて、余命はあと半年と言われている。これまで何度か生死の境をさまよってきたので、本人も長く生きられないことに薄々気づいているようだ。

クリスマスイブの夜、病室のベッドで息子にプレゼントをあげた。以前から欲しいと言っていたオモチャなので嬉しそうだ。はにかんだ笑顔がとても可愛くて、頬を撫でると絹のように柔らかかった。

病室の窓を見ながら息子は言う。

「クリスマスって本当は雪がふるんでしょ? 僕一度も見たことない。」

私たちが住んでいる地域は雪がほとんど降らない。息子が産まれてから何回か降った事はあるが、まだ小さかったので覚えていないだろう。

私はカバンからMacBook Airを出して、クリスマスの音楽を再生した。ターミナルを起動してコマンドを入力する。

ruby -e 'C=`stty size`.scan(/\d+/)[1].to_i;S=["2743".to_i(16)].pack("U*");a={};puts "\033[2J";loop{a[rand(C)]=0;a.each{|x,o|;a[x]+=1;print "\033[#{o};#{x}H \033[#{a[x]};#{x}H#{S} \033[0;0H"};$stdout.flush;sleep 0.1}'

returnキーを押すと、雪が降った。

「ふふ。お父さんありがとう。最後のクリスマスに雪がふったね。」

息子は泣くのを我慢していたようだが、私は大泣きした。6年間の思い出がよみがえって、涙が止まらなかった。この愛おしい息子を失うことが耐えられなかった。

あれから10年経ったが、今でもクリスマスが近づくとあの夜を思い出し、心が千々に乱れる。


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