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『指紋を発見した男』はかつて日本に住んでいた

Book Book-ノンフィクション

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すべての人間は、ゆりかごから墓場まで、なんらかの身体的特徴を携えてゆくものだ。生涯変わることのないその特徴によって、個人は常に認証され、そこに疑問の入りこむ余地はまったくない…… その署名を構成するものこそは、両の掌と足の裏に、大自然が刻みこんだ繊細な線や波形なのだ。ー マーク・トウェイン


犯罪者の身元を確認する手段として初めて指紋がクローズアップされたのは、1880年10月号の科学雑誌『ネイチャー』に掲載された記事だった。投稿者は日本に住んでいたスコットランド人医療宣教師ヘンリー・フォールズ。

当時ヘンリーは東京の築地にある診療所で働いていた。人類の進化に興味があったヘンリーは、縄文土器の表面に残っていた何本もの平行線に目をとめる。これは二千年前に土器を焼いた人物の指先の跡に違いない。そう直感したヘンリーは、指先の溝のパターンが個人識別の基礎になると推測した。

家族、友人、商人、職人、ありとあらゆる人物の指紋を収集し、指紋が個人特有のものであり、その人の一生を通じて不変である事を証明しようとした。その後に紆余曲折を経て、1901年に母国スコットランドで初めて指紋が犯罪捜査の証拠として利用された。アメリカでは1908年、日本では1911年から指紋による捜査が始まっている。

指紋は指先の皮膚にある汗腺が隆起したもので、排水溝のような役割がある。指先と、それがつまもうとする物体の間に水分の膜ができるのを防ぐ。人間は手で物に触れることをやめられない生き物であり、手は触れた物の上に指紋という名刺を残していく。

日本では江戸時代から署名や捺印として拇印が使われていた。それから数百年後、ヘンリーが日本に赴任して指紋に着目する。ヘンリーの死後、指紋は犯罪捜査や生体認証として利用されているが、実はいまだに個人特有のものだと証明されていない。だが、同じ指紋を持った人間も現われていない。

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