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立花隆による読書の心得14カ条『僕はこんな本を読んできた』

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「人は生まれながらにして知ることを欲している」 アリストテレス - 形而上学


人生には限りがある。人は一生のうちで何冊の本を読めるのだろう。普通は仕事や家事や情事があるので、読書に割ける時間はあまりない。だからこそ、できるだけ良い本を選んで効率よく読みたい。

立花隆は、1964年に東京大学仏文科を卒業後、文藝春秋に入社した。週刊文春の記者を2年半務めた後、自分の時間、つまり読書の時間がない事を理由に退社。東京大学の哲学科に学士入学し、その後から執筆活動を始めた。

僕はこんな本を読んできた』は、そんな立花隆の読書術と書評を載せた本。仕事と一般教養のための読書について、実践に役立つ14カ条が紹介されている。

  1. 金を惜しまず本を買え。
  2. 必ず類書を何冊か求めよ。
  3. 選択の失敗を恐れるな。
  4. 自分の水準に合わないものは無理して読むな。
  5. 読みさしでやめることを決意した本でも、一応終わりまでページを繰ってみよ。
  6. 速読術を身につけよ。
  7. 本を読みながらノートを取るな。
  8. 人の意見やブックガイドのたぐいに惑わされるな。
  9. 注釈を読み飛ばすな。
  10. 本を読むときは猜疑心を忘れるな。
  11. オヤと思う個所に出会ったら、必ず、この著者はこの情報をいかにして得たか、あるいは、この著者のこの判断の根拠はどこにあるのかと考えてみよ。
  12. 何かに疑いを持ったら、いつでもオリジナル・データ、生のファクトにぶちあたるまで疑いをおしすすめよ。
  13. 翻訳書でよくわからない部分に出会ったら、自分の頭を疑うより、誤訳ではないかとまず疑ってみよ
  14. 大学で得た知識など、いかほどのものでもない。若いときは、何をさしおいても本を読む時間をつくれ。


こちらは立花隆の事務所と書庫、通称「猫ビル」の映像。


ここには3万冊を超える本がある。新しい領域の仕事をする時は、最低でも書棚2段分の本を読むとの事。ある学者との対談では、事前学習のために6万円分の書籍を購入したが、出演料も6万円だったそうだ。

まず消費者にならないと、ちゃんとした生産者になれない。


本書には、週刊文春の「私の読書日記」に連載された書評も載っている。著者や編集者に対して遠慮がないため、書評自体は面白いのだが、興味を惹く本はあまり登場しない。インタビュアーに「読者に勧める立花隆のベスト5」について聞かれた時、自身もこう答えている。

僕はね、若い時に人が推薦するような本を読んで、よかった記憶ってないんです。つまらない引っ張られ方をしたな、という後悔しか残らなかった。結局、本との出会いは自分でするしかないんです。本当に本が好きな人は、自分で見つけますよ。それに僕は、「この一冊」という読み方はするべきじゃないと思っててね。何かに興味を持ったら、関連の本は十冊は読むべきなんです。


最近私も本に関する記事を書いているが、それらは単に紹介しているだけで書評になっていない。それぞれのテーマに沿った関連本を読んでいないため、知識が浅く比較できないからだ。ということで、立花隆というテーマに対して、まずは自身の著書『サル学の現在』と『宇宙からの帰還』を読んでみようと思う。

『僕はこんな本を読んできた』には、こんな刺激的な一文が登場する。

サルからヒトが進化してきた過程を考えてみると、サルというのは、初めはみんなジャングルに住んでいた。ジャングルというのは、自然が豊かで、食べ物も豊富だし、非常に住みやすい環境なんです。ところが、われわれの先祖であるヒトは、そのジャングルからサバンナに進出していった。サバンナというのは非常に自然が貧しい世界ですよね。(中略)でも目の前に広がるサバンナを見て、そこは劣悪な環境で、住みやすくはないに決まっているんだけれども、あっちに何があるんだか知りたい、とにかく行ってみたい、そう考えた一群のサルがいたわけです。そのサルたちがサバンナへ進出していって、そこではじめて、サルからヒトへと進化することができたわけです。


現在、地球から宇宙への到達距離は、人が40万キロ、衛星が190億キロ、観測距離が131億光年。人は知りたい、とにかく行ってみたいという純粋な知的欲求を満たすために宇宙を研究する。宇宙の最遠に触れた時、人はどう進化するのだろう。

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